ものすごく乱暴な言い方をすれば、ビートルズの「Penny Lane」一曲から多大な影響を受けて発展したバンドがあるとしたら……。スタックリッジはそんな愛すべきバンドでした。10ccやセイラーといった同時代のUKポップ・バンドよりも、もう少し都市の郊外に暮らしているような雰囲気と言えばいいでしょうか。本作は彼らのサード。つつましくもキャッチーで絶妙にひねくれたポップソングが並んでいることでは、他の作品に引けは取りません。変拍子インスト「Rufus T. Firefly」も最高なんです。UK盤とは曲順違い。.
針を落とした瞬間からファンクのリズムがあふれ出すコールド・ブラッドの74年盤。紅一点の女性シンガー、リディア・ペンスを前面に出し、スティーヴ・クロッパーのプロデュースでスタジオミュージシャンを大幅に導入。ある意味、バンドとしてのアイデンティティの危機なのですが、作品としては従来にない聴きやすさとメロウさ。フリーソウルの定番としてフロアで重宝されました。「Simple Love Life」「Come Back Into My Life Again」もいい曲!.
ハイファイで「Home Grown」と言えば70年代後半のハワイアン・コンテンポラリー集というイメージですが、じつはこの地元音楽家支援の運動はアメリカ本土でも各地で行われています。こちらは77年サンディエゴ版。ハワイ風のシティポップからカントリーソングまで(電子音楽まで!)、さまざまなスタイルが同居しているのが土地の豊かさを感じさせますね。A-1のメイン・セイル「My Home In La Jolla」がもう絶品!.
ヴァン・ダイク・パークスが裏ジャケのライナーを書いていることでも知られるシンガーの西海岸スワンプ・アルバム。ジム・ケルトナーら豪華セッションメンにサポートされたサウンドは、ぐっとアメリカの懐深くへ潜っていくよう。重心の低いグルーヴとオーケストレイションが見事合体した「Wherefore And Why」が素晴らしい! バーバンク色も濃厚ですし、のちにヴァン・ダイクの親友となるニルソン的な香りもほのかに。.
60年代に「You We're On My Mind」の大ヒットを飛ばした彼らのラストアルバム。1977年のリリースだけにサウンドはアーシーになってはいますが、美しいコーラスに彩られたソフトロック調ナンバーをこの時代に丁寧に作っていることに、まずビックリ! 全体的にもポップス度の高い作品になっています。深いエコーがかけられ、どこか神聖な雰囲気もありますね。ハーパース・ビザールのラスト作にも通じる隠れた名作です。ぜひ!.
ジョニー・キャッシュの伝記映画「Walk The Line」にも、幼少時代の彼女がいましたね。成長してオキャンなパブロック/ロッキンカントリー姐ちゃんに。付き合っていた(そして結婚もした)ニック・ロウのプロデュース&全面協力で、バックはロックパイル。すかっとした女パブロック外伝!.
収録曲・データ
【曲目】Cry / Madness / Baby Ride Easy / Bandit Of Love / I'm So Cool / Appalachian Eyes // Ring Of Fire / Too Bad About Sandy / Foggy Mountain Top / That Very First Kiss / Too Drunk (To Remember) / Too Proud
【曲目】Brilliant Colors / Cowboy / The New Life Out There / Morning Girl // Midsummer Night / Little Sparrow / The Last Time I Saw Jacqueline / Morning Girl, Later
【曲目】Bette Davis Eyes / Jessie's Girl / Take A Chance On Me / Hit Me With Your Best Shot / Leader Of The Pack // Queen Of Hearts / Whip It / Heartbreaker / Hold On Tight / Losing You (I Really Wanna Lose You)
たとえばキング・ハーヴェストの「Dancing In The Moonlight」とかと並ぶ70年代ブルーアイドソウルの名曲として名高い「How Long」収録のアルバム。ほとんどの曲を書いたポール・キャラックの資質が全開で、あらためてそのソウル度数の高さに驚いているところです。知的なユニットになってしまう前のスティーリー・ダンとも通じる部分も発見。.
70年代に入ってからも、生まれ持ったオールディーズ愛をうまく時代のサウンドにアップデートして活動を続けたジョニー・リヴァース。73年の本作はネッド・ドヒニーの「Get It Up For Love」をいち早く取り上げたことでも知られています。のちのネッドの自作自演版とは違ったファンキー&ソリッドなカヴァーですが、実はネッド自身のデモが最初はこういうテンポだったとのちに判明しました。しかも、このヴァージョン、ファンキーロックで最高にかっこいい!.
【曲目】Stagger Lee / That's How Strong My Love Is / Willie And The Hand Jive / Circus Face / Hippie From Olema #5 / Good And Dusty / Let The Good Times Roll // Drifting And Drifting / Pontiac Blues / Moonshine Is The Sunshine / Will The Circle Be Unbroken / I'm A Hog For You Baby / Light Shine
いわゆる“宗教ソフトロック”に分類される作品の中でも人気なのが本作です。アッパーで爽快。めくるめく展開とソフトロック心全開のコーラス! 「Smiling At Rainstroms」「Bright New World」「The Flower Shoppe」など、サニーなムードが満点です。50年代から活躍する名アレンジャー、ラルフ・カーマイケルが組織し、メンバーは白人・東洋人・黒人の混合。フラワーかつヘアーな雰囲気に祈りが加わった傑作!.
収録曲・データ
【曲目】Our Front Porch / Smiling At Rainstorms / Bright New World / Trust Me Now / Reach Out To Jesus // Dressing Up Jesus / Memories / We're Not Going To Make It Together / The Flower Shoppe / I've Got Confidence
アソシエーションが歌ったすばらしいタイトル曲をはじめ、スキャットによるインストや、ティファナ・ブラスがロックっぽくなったような曲など、ソフト・ロックの名盤としても楽しめるナイスなサントラです。B-1「It's Gotta Be Real」Bラス「So Kind To Me」もスムースなグルーヴが心地よいナイス・ソフトロック! インスト曲はチャールズ・フォックスの手によるもの。.
収録曲・データ
【曲目】Goodbye, Columbus / How Will I Know You? / Dartmouth? Dartmouth!! / Goodbye, Columbus / Ron’s Reverie // It’s Gotta Be Real / A Moment To Share / Love Has A Way / A Time For Love / So Kind To Me
70年代を通じてELO、ウィザード、ウィゾー・バンド、そしてソロと孤高の存在ながらもにぎやかなキャリアを貫いた才人。AOR的な要素も感じさせる超名曲「Dancin' At The Rainbow's End」収録。ジョン・ボーナムのドラムが聴けるビーチボーイズ風ポップ「Keep Your Hands On The Wheel」など、ヴァラエティ豊かなロッキン・ポップは今作でも爆発! 実は一番聴きやすいアルバムかも。.
スリー・ドッグ・ナイトのリードシンガーとして著名な人ですが、ヴァン・ダイク・パークスとは若い頃から大の親友。加入以前、1965〜66年のHBR〜MGMレーベルの7インチを中心としたソロ音源集。MGM時代の楽曲にはヴァン・ダイクがノンクレジットですが深くかかわっています。そのうちの一曲が、ハーパース・ビザールも演った名曲「Funny How Love Can Be」。このアヴァンギャルドなアレンジには時代を超えて仰天! バーバンクサウンドのファンはマストアイテム。.
ご存じイギリスのひねくれ系ロックバンドの名作。ドリーミーなセカンドアルバム「Friendliness」が人気ですが、このサードも良いですよ。パイロット的なポップ性を身につける一方で、南米的メロディが印象的な大名曲「The Road To Venezuela」なんかがあったり。もっと見直し、聴き直されるべき1枚。.
収録曲・データ
【曲目】Fundamentally Yours / Pinafore Days / The Last Plimsoll / To The Sun And Moon / The Road To Venezuela // The Galloping Gaucho / Humiliation / Dangerous Bacon / The Indifferent Hedgehog / God Speed The Plough