彼女のような存在をソングライター・シンガーと言ってもいいでしょう。すでにこの時点で作詞家として成功したキャリアを持ち、後にバカラックの奥さんとなる彼女の素晴らしいファースト。ピーター・アレン、ベット・ミドラー、ブルース・ロバーツ、メリサ・マンチェスターら良き共作陣を得た美しいメロディと、シンプルながら上品なサウンド。16ビートで決めた「Don't Wish Too Hard」は、実に開放的なポップグルーヴ! NYポップの粋が結集されたような珠玉のフィメールAORです。.
かつてはマーク・ベノらと交流があったスワンプレディ。70年代後半にはすっかりソフィスティケートされたAORシンガーに転身しました。でも、ソウルフルな持ち味は失わず。姉のパートナーだったブッカー・T・ジョーンズのプロデュースによる79年作です。シフォンズ「One Fine Day」のモダンなリメイクなど、音楽へのリスペクトもばっちり。.
もともとカントリー畑のバンドだった彼ら。1978年にヒット曲「Kiss You All Over」でジャンルをクロスオーヴァーし、それ以降の作品にはメロウな佳曲が必ず数曲入っています。本作でいえば「Destiny」や「Being In Love With You Is Easy」など。ジャケット・デザインに恵まれていないところがあって、本作ももっと知られていいはず。.
デヴィッド・フォスターが作曲・プロデュースを担当したクリスタルAOR「Now And Forever」を収録。AORファンはこれだけでも買いな1枚です。実力派シンガーだけあって、80'sなサウンドになっても、貫禄充分の歌声を聴かせる彼女。透明感たっぷりのバラードB-3「When You’re Gone」も美しい出来です。.
収録曲・データ
【曲目】Now And Forever / Who’s Leaving Who / My Life’s A Dance / Call Us Fools / On And On // Heartaches / Reach For Me / When You’re Gone / You Never Know / Gotcha
「Brother To Brother」と共に、彼の代表作に上げられることの多い81年作。AORにカテゴライズこそされていますが、サウンドクリエイターとして30年余も孤高の存在で有り続ける人です。周囲のミュージシャンとの交流も少なく、いかにも孤高と評するのがふさわしいのに、作り出す音楽はメインストリームのど真ん中。それも気合い充分で、その迫力はすごい。白人・黒人の双方の音楽を、高い場所でまとめ上げて独自のブルーアイドソウルです。.
タガログ語を交えた「We’re All Alone」に打たれました! フィリピンの人気シンガー、リコ・J・プノ、77年のアルバムです。甘く都会的なAORサウンドと、フィリピン・シンガーならではの独得の色気があります。力強い地声とファルセット、英語とタガログ語の組み合わせがじつにエモーショナルな効果を生み出しています。ダンサブルとかDJ向けとはまた違い、むしろヴィンテージソウル/チカーノソウルなどに近い感覚です。.
インドネシア出身の彼が、オランダで発表した4作目。ダンスフロアーを意識したA面、スティーヴィー・ワンダーの影響深いメロウネスが光るB面という構成。80年代に日本で紹介された当時は「Tears For The Stars」や「Ev’rybody Feel The Groove」が人気でしたが、今だったらメロウな「Temptation’s Stronger」や「Days Can’t Stay Forever」がぐっと来たり。ジャジィなコード使いなど、高度な内容を感じさせますし、ハワイやフィリピンAORとも共通する匂いも。.
収録曲・データ
【曲目】 Ev’rybody Feel The Groove / Tears For The Stars / Wake Up / Lorraine // Jakarta / Temptation’s Stronger / The Rain / May Please Stay / Days Can’t Stay Forever / You Are My Sunbeam
UKブルー・アイド・ソウル・シンガー、ジェス・ローデンのセカンドにして傑作。伊達男な感じがアルバム全体に漂うメロウAORなアルバムです。幕開けの「Misty Roses」極上カヴァーの美しさ。ホーンが心地良い「In Me Tonight」の洒脱なグルーヴ・チューンにも昇天必至。一時の人気も落ち着いた今、改めて聴くとさらに楽しめるようになりましたね。.
【曲目】Dancing In The Halls Of Love / Driftin' / Believer / Rainbows Go On Forever / Space // You're Out Of Love / That's When She Touched Me / I Don't Wanna Lose You / Not Tonight / Just Can't Stop It【Producer】Louie Shelton
イギリス人ディスコマスター、ビドゥが手掛けたコケティッシュな魅力の美女シンガー。四つ打ちが主流になってしまう前の、ディスコのおおらかな時代を象徴する存在のひとりです。日本では「Oh! クッキーフェイス」でもおなじみかも。英米でヒットした「Dance Little Lady Dance」や、まるっきりジャクソン・ファイヴな「Dr. Love」などを収録した人気盤!.
この翌年にシンガー・ソングライター、レニー・ルブランとのデュオ、ルブラン&カーとしてAORヒットを出す人ですが、基本的には南部セッション界きっての達人ギタリスト。なので彼のソロは、同時期のジェフ・ベックを意識したようなロック&メロウなギターインスト主体作なのです。うっすらとコーラスも入る「Take Away The Wheels」やスタンダードをポップにリメイクした「Canadian Sunset」など、高中正義好きにもおすすめ。.
日本ではAORとソウルの両方で人気があったシンガー。サウンドにブラコン的な切れ味が増した83年の作品です。マーヴィン・ゲイも歌った「Ain't That Peculiar」や、ビージーズのギブ兄弟作のナンバーなども取り上げています。気持ちいい伸びやかなビブラートヴォイス、コンテンポラリー且つ嫌みのない色気もナイスです。彼はここでアメリカでのキャリアを断ち、ドイツに移住し、2014年に亡くなるまでその地で活動しました。.
すぐれたギタリストであり、スウェーデン産AORシンガーとしても近年広く評価されているイングマー・ヨハンソン。おそらくこれがセカンド・アルバム。同時代のブラジル音楽に強い影響を受けていたことがよくわかるアルバムです。高速ボッサな「Vad I All Varlden」シティポップ・ファンクな「En My Vision」珍しく英語詞で歌われるオリジナル「Dead-End Street」もよいです。その歌詞を聴くと、CCM的な作品だったこともわかります。.
大人の味をしたシンガーによる素敵なMORアルバムなのです。マイク・ベアード、リー・リトナー、ナイジェル・オルセンら多彩なミュージシャンが参加。サウンドのテイストはスムースでシルキーなソウルタッチ。プロデューサーがスティーヴ・イートンのファーストなどを手掛けたジェイ・センター。その縁でイートン作のカーペンターズ「All You Get From Love Is A Love Song」のカヴァーが。.
通算6作目。ジェイ・グレイドン、マイク・ポーカロ、デヴィッド・ペイチ、ボビー・キンボールらLAのトップセッションメンが参加。初期の名作「Prime Cuts」あたりからすると随分モダンなサウンドで幕開けしますが、途中で現れるピアノ系バラードになると、やっぱり彼のナイーヴでドラマチックな個性の独壇場です。沁みます。A-1「Don’t Let Go Of Me」で聴こえるコーラスは奥様のジャッキー・デシャノン。.
収録曲・データ
【曲目】Don't Let Go Of Me / You Can Always Buy Her Pearls / If This Is Love / Thirty Years Old (Mom) / Night Music // You're The One / Time Changes People / A Potato In The Rain / My Heart Got In The Way / All Along The Rhine
もともとはイギリスで72年にリリースされていたシングルですが、アメリカでは無視。「Laughter In The Rain」の大ヒットを受けて、急遽アメリカでもシングルカットされ、最高27位まで上昇しました。なのでバックは10ccなのです。本国でカムバックを果たしたセダカの心があらためて乗り移ったように響きますね。.
5年ぶりのセカンドではスティーリー・ダンでおなじみゲイリー・カッツのプロデュース。メリハリの効いたエイティーズ・サウンドですが、アコースティック感覚も絶妙に活かします。「James Dean」や「The Motown Song」など若き日の憧れを描いたようなナンバーが多いのも本作の特徴。波間を漂うようなゆったりしたエンディング曲「Tar On The Roof」がこれまた格別です。.