フランス人ジャズ・ピアニスト、アンドレ・ペルシアニが自国のジャズシーンで頭角を表した1950年代半ばのビッグバンド・レコーディング集。ピアニストとしてもうつくしいタッチのプレイヤーですが、ここではエリントンやベイシーなどの曲でアメリカのビッグバンドへの憧れをたっぷりとたたえつつ、自作曲で自分たちが誇れるジャズを作り出そうとした若い気概が感じられます。ジャンゴ・ラインハルト楽曲をビッグバンド化した「Place De Brouckere」は異色。.
しびれる選曲のベイシー伯爵版モッド・ジャズがこのアルバム。「Cool Jerk」ビートにリアレンジされた「Hang On Sloopy」はどうだ? チコ・オファリルのアレンジはタイト、ビッグバンドの演奏は安っぽさの無いホンモノ。ラスト「Memphis Tenessee」までホットもクールもお手の物!.
収録曲・データ
【曲目】Mercy, Mercy, Mercy / Hang On Sloopy / Don’t Let The Sun Catch You Cryin’ / Ain’t To Proud To Beg / Goin’ Out Of My Head / In The Heat Of The Night // Green Onions / Knock On Wood / Let The Good Times Roll / Bright Lights, Big City / Reach Out, I’ll Be There / Memphis Tennessee
60年代クインシーの隠れた傑作。冒頭を飾る「Theme From Golden Boy」のストリングス・ヴァージョンのひんやりとした美しさ! ドン・エリオットのスキャットが奇妙なキュートさを醸し出す「Sea Weed」も印象的。「The Sidewinder」や「A Hard Day’s Night」あたりも、さすがのセンスの良さなのです! あえてこのアルバムを象徴する一曲なら、ラストのとことんまで美しい自作曲「The Midnight Sun Will Never Set」。とろけ死にします。.
めりはりの効いた音色が身上の名トランペッター。60年代のポップな空気を吸い込んで、ユニークなビッグバンド・サウンドを展開します。裏ジャケに書かれた「Fabulous Ideas」という惹句は本当で、怒濤のビッグバンドや、ひとひねりしたボサノヴァなど、アレンジのデパートみたいな感じ。「On A Clear Day」は変化球。「Sidewinder」は直球剛球!.
20世紀ジャズの大巨人エリントンが、自らリーダーバンドを率いてレコーディングを行った最初期の記録。ニューヨークのコットン・クラブの専属となった1927〜29年にかけての演奏をまとめたヒストリカル盤です。すでにエリントン生涯の代表曲となる「Black And Tan Fantasy」「Creole Love Call」などが生まれています。「East Saint Louis Toodle-Doo」はのちにスティーリー・ダンもカヴァーしてますね。.
United Artists Jazzシリーズのアルバムは内容、アートワーク共に全部持っておきたいハイクオリティ! 黒人オルガン奏者とオリバー・ネルソンのビッグバンドによる、黒くて構築的でアイデア豊かな“ソウル・ジャズ”です。オープニングを飾る「A Taste Of Honey」から目が覚める思い。レイ・バレットのコンガが全体を力強く鼓舞しています。ジャケットに描かれた少女は、のちに「The Knack」に主演するリタ・トゥシンハムがモデル(映画「A Taste Of Honey」で英国アカデミー新人賞を受賞)。.
トランペッター、メイナード・ファーガソンのドイツMPS録音。ビッグバンドのアレンジはロルフ・ハンス・ミュラー。すでに同時代のアメリカでは聴くことが難しくなっているストレートなビッグバンド・サウンド+ヨーロッパ的なシャープネスで構築された作品です。「It's Almost Like Being In Love」がシャープ!.
収録曲・データ
【曲目】It's Almost Like Being In Love / Knarf / Ole / Dancing Nitely // Tenderly / Whisper Not / Got The Spirit
グレン・ミラーに並々ならぬ恩恵を受けて育ったヴォーカリストたちとサックス奏者が一同に介し、モダンなポップ・ヒットをグレン・ミラー・ビッグバンドのスタイルで解釈したナイス・アルバム。テックス・ベネキーとモダネアーズが歌う「Long Tall Texan」レイ・エバールが歌うバカラック・ナンバー「Wives And Lovers」も良いし、インストでは小気味よくスイングする「Java」を推薦!.
“ノスタルジアでは無いアクティブなビッグバンドを!”というコンセプトのもの制作されたチャーリー・バーネットの67年式ビッグバンド・アルバム。アレンジは伝統的なものながら、リズムのアタックなど、高速ナンバーでの冴えは確かに気合い入ってます。「Rabble Rouser」「Bali Bali Buck Dance」などいかしたオリジナル中心の選曲!.
イギリスのコンポーザー/アレンジャー、ジョニー・スコットがロンドンをテーマに構成したビッグバンド・スイング・アルバム。実力者スタジオ・ジャズマンたちの豊かな演奏に、上品かつモダンなアレンジでお送りするサウンドスケープ。ロンドンのウェストエンドにある劇場街の名門パレス・シアターで「Sound Of Music」を見て来たカップルを写したジャケットが、また気分をいっそう盛り立ててくれます。ラストの「London Bridge Is Falling Down」でビックリ!.
収録曲・データ
【曲目】Let’s All Go Down The Strand / They’re Changing Guard At Buckingham Palace / Chelsea Bridge / Knocked ‘Em In The Old Kent Rod / The Trees In Grosvenor Square / Limehouse Blues // London By Night / Greek Street, Soho / A Nightingale Sang In Berkeley Square / Covent Garden Starts Early / Springtime In Piccadilly Circus / London Bridge Is Falling Down
“From The Creative World Of”の名義を用いるようになった60年代のケントンは、自らの門下生たちにテーマを与え、彼らが用意した楽曲及びアレンジを使って作品をリリースしていきます。本作で指名されたのはジーン・ローランド。”Blues”といっても、いわゆる黒人のブルースだけではなく、情感の表現、黒人ルーツの探求など様々な視点が試みられています。死ぬまで自分が動き続けたエリントンとは違うアプローチで、自身の音楽を追究したケントン。ちゃんと研究するとすごい人だと思います。.
スタン・ケントンが1943年にCapitolと専属契約を交わす直前の数年に在籍したDeccaでのレコーディングをまとめた一枚です。この時期のレコーディングは、おそらくこのかたちでしかアナログLPになっていないのでは? 「発達期」というタイトルが示す通り、快活な30年代風ダンスバンド作品に混じって「Reed Rapture」「Concerto For Doghouse」といった野心的なオリジナルがチラホラ。「Tabu」のアレンジも斬新です。.
収録曲・データ
【曲目】El Choclo / Gambler’s Blues / Lamento Gitano / The Nango // Tabu / This Love Of Mine / Reed Rapture / Concerto For Doghouse / Adios
もちろんグレン・ミラーはとっくに亡くなっているわけでして、この時期はクラリネット奏者バディ・デフランコがリーダーを務めています。さて、こちらはPANAM社とタイアップした世界周遊モダンサウンド。複数のアレンジャーが参加していますが、中でもビリー・ヴァー・プランクが手がけたトラック「Spanish Bell Ringer」「On The Bridge」が秀逸です。とくに後者(アヴィニヨン橋の上で)は「えー? これがグレン・ミラー?」と驚きの声があがるはず。.
収録曲・データ
【曲目】I Hear A Rhapsody / Spanish Bell Ringer / Once Upon A Time / On The Bridge / Things Ain't What They Used To Be // Goin' Great / Try To Remember / Holiday For Strings / I Remember When / Stranger In Paradise
巨人エリントンが生前に書き遺し、その一部しか陽の目を見ていなかった組曲「Symphony In Black」完全版をライヴで再現しようというスミソニアン博物館主導のプロジェクト。ガンサー・シュラーの指揮のもと、ルー・ソロフ、トム・ハレル、サル・ニスティコら歴戦のミュージシャンがその名誉ある仕事に挑みました。.