この素っ気ないジャケットがラリー・カールトンのファースト。若く才気にあふれたポップジャズ・アルバムです。いかにもウェス・モンゴメリーの影響下にあるプレイとアレンジですが、すでにアドリブやメロディ解釈の端々に才能が見え隠れ。バッキンガムス「Don't You Care」のカヴァーが最高! ちなみに、後の73年作品での顔写真より、髪型のせいかこの頃の方が老けて見えます(笑)。.
収録曲・データ
【曲目】With A Little Help From My Friends / Mac Arthur Park / Don’t You Care? / When Sunny Gets Blue / Honey // Monday, Monday / Eleanor Rigby / The Odd Couple / By The Time I Get To Phoenix / People Get Ready
どことなくラーガ的な響きもあるギターの鉄弦サウンドがガボール・ザボにも似た印象。しかし、あちらがクリード・テイラーなら、こちらの育ての親はロバート・マージー(アンディ・ウィリアムス、イーディー・ゴーメなど)。そのせいか、かなりポップなアプローチになっています。それが軽く見られた時代もあったのでしょうが、今ならむしろOK! 「For Once In My Life」や「Watch What Happens」の解釈、最高だと思います。ポップスファンのツボを心得た選曲もたまりませんね!.
収録曲・データ
【曲目】Fly Me To The Moon / When Sunny Gets Blue / They Can’t Take That Away From Me / Here’s That Rainy Day What Kind Of Fool Am I / The Shadow Of Your Smile // Stormy Glad Rag Doll / On The Street Where You Live / Watch What Happens / So Rare / For Once In My Life【Producer】Robert Mersey 【Arranger】Robert Mersey
たとえばミッキー・ベイカーの50年代Atlantic盤。あの感触を、もっと黒く60年代に移行させたとしたら。そんな、グレートR&Bジャズ・ギターです! 50年代ドゥーワップの名門グループ、コースターズの専属ギタリストであったソニー・フォリエストにとって唯一のソロ作。グリージーなリフに悶絶のタイトル曲から、高速4ビートジャズ(メロディの刻みはR&B)の「What Is This Thing Called Love」への流れ。最高すぎて反則! 半分近くのドラムをバーナード・パーディーが叩いてます。.
収録曲・データ
【曲目】I Got A Woman / Unchain My Heart / Bitter With The Sweet / Steppin’ / Miss Dee Mc C // My Soul Is Happy / Mashin’ It / Tuff Pickin’ / What is This Thing Called Love / Goodbye Charlie / Minor Blast
全篇チャーリー・カレロのアレンジ。女性コーラス、ストリングスが導入され、リズムにもぐっとモダンなポップスの感覚があしらわれ、カレロの個性が発揮されています。「In My Room」のリフにも、トーイズ「A Lover’s Concerto」の痕跡がチラと見えたり。もちろん主役のバードのガットギターも冴え渡っています。もともとチャレンジには強い人。淡い気分が素敵な「Dulcinea」や「Lonely Crown」も聴いてみてください。.
収録曲・データ
【曲目】In My Room / The Shadow Of Your Smile / Bonanza! / Yesterday / Norwegian Wood / It Was A Very Good Year // Dulcinea / Michelle / A Taste Of Honey / Lonely Clown / Walk Right In
【曲目】Will You Still Be Mine? / I Guess I'll Have to Change My Plans / I'll Never Be the Same / All of You // Yes Sir, That's My Baby / The Night We Called It a Day / Bach Revisited / Cheek to Cheek / Far from Vanilla
【曲目】Se Todos Fossem / Iquais A Voce / Chung King / Carolina In The Morning / Three Quarter Blues / Take Care Of Yourself / St. Louis Blues // Jazz’N’ Samba / Oh, Lady Be Good / Things Ain’t What They Used To Be / A Hundred Years From Today / Bluesette
CTI移籍第一作。ドン・セベスキーのアレンジ、裏ジャケのポートレートまで含めて、急逝したウェス・モンゴメリーの跡を継いだようなイメージでの入社でしたが、彼にとっては若いソウルジャズ・ギタリストというそれまでの立場から飛躍するステップとなりました。「Chattanooga Choo Choo」やモンキーズ「The Last Train To Clarksville」などを斬新なアレンジで収録。まずはCTIの皆さんへのご挨拶といった趣です。オリジナルUS盤はあまり見かけないカタログのひとつ。.
収録曲・データ
【曲目】Footin' It / Face It Boy, It's Over / Shape Of Things To Come / Chattanooga Choo Choo // Don't Let Me Lose This Dream / Shape Of Things That Are And Were / Last Train To Clarksville
【曲目】Southern Rider / Something / Everybody’s Talkin’ / Pavanne / Something Pretty / Wave // Nothing But A Fool / Brown Baby / What Is A Friend / Pretty Butterfly / Sonatina / Something Like The Blues
スリリング&ソリッドなJBメドレー(I Don’t Want Nobody To Give Me Nothing〜Cold Sweat)を収録していることで有名な一枚ですが、今の気分はむしろスティーヴィー・ワンダーの「If You Really Love Me」のとろけそうなカヴァーの方かしら。ビリー・ウッテンのヴィブラフォンがこれまた魅惑のアクセント。ジャケはBlue Noteらしくないですが、中身はこれぞBN-LA時代への予告篇!.
こまっしゃくれ系天才子供ギタリスト、ブールー・フェレの全米デビュー・アルバム!達者なギターは大人顔負け。あどけないスキャットは大人泣かせ。「Mack The Knife」「Night And Day」「Salt Peanuts」……。やんちゃな負けん気が、ジャズをみんなのものにします! バックを囲むフレンチ・ジャズメンのほほえむ顔も、目に浮かびますね。アラン・ゴラゲールによるディレクションもお見事。裏ジャケにはミシェル・ルグランからの賛辞も捧げられています。.
収録曲・データ
【曲目】Mack The Knife / Groovin’ High / Night And Day / Undecided / Blue ‘n Boogie / Salt peanuts // A Night In Tunisia / Bluesette / I’ll Never Smile Again / Ow / The Girl From Ipanema / Ascot
Deccaレーベルにあって独自の美学を追究する“Mood Jazz In Hi-Fi”シリーズの一枚。バレリーナと淡い水玉を組み合わせたアートワークにまず感服。イーストコーストきっての職人肌で、ギターを弾かさればおのずとクールなトーンがまろびでるサル・サルヴァドールがブラスセクションと融合。にぎやかにではなく、あくまでカラフルな色彩として。そのストイックなこだわりが演奏の喜びに結実しています。レアなステレオ!.
いかにもいけいけなソウルジャズの新鋭ギタリストのようなセクシージャケットですが、ジョージ・フリーマンは1927年生まれですでにこのとき40代後半。歴戦ジャズマンとして渋くて味わい深いR&Bジャズをプレイします。選曲も1曲目からビートルズやペギー・リーで知られる「Till There Was You」だったり、「Stardust」も素敵です。.
ジャズ・フュージョン・ギタリストの鑑、ラリー・カールトンのセカンドは、SSW的感性を活かしたヴォーカル・アルバム。リズムボックス使用の「Easy Evil」ナイーヴにうねる名曲「Wavin’ And Smilin’」など、ソウルフルな曲調、陰影に富んだメロディ、ダルなムードなど、この感触は現代にこそ通用するものですね。シュギー・オーティスの「Inspiration Information」みたいな感触のアルバムを探してる方へ。.
収録曲・データ
【曲目】Easy Evil / I Cry Mercy / One More Chance / With Respect To Coltrane // American Family / Wavin' And Smilin' / Captain, Captain / Free Way
職人的なギタリストとしてさまざまなセッションに参加し、自身は知的な編曲を志向するクールなギタリストだったジョージ・バーンズ率いるクインテット。ピアノレスで、ギター2本(エレキとアコギ)とクラリネットがリードをとるユニークな編成です。戦前からあるようなギター・スイングを起点にしながらもモダンなアプローチを試みる、まさに“ルネッサンス”なユニットでした。「You Make Me Feel So Young」などを聴くと着想の豊かにうなります。.
A面はジョン・トロペイのプロデュースで、ブラザース・ジョンソン(シュギー・オーティス)「Strawberry Letter 23」デニース・ウィリアムス「Free」のカヴァーなど、ひたすらにメロウなレパートリー。リチャード・ティー、スティーヴ・ガッドらが客演。B面はジョージ・ベンソンのプロデュース。自作ナンバーをハーヴェイ・メイソン、チャック・レイニーらと、自由な雰囲気でソリッドなセッションを。ラストの「Cyrenna」は自らの多重録音+デオダートという異色曲。全体に漂う海洋的な雰囲気を、気持ちよくギターが泳いでいます、隠れ名盤。日本盤解説付。.