若さゆえの憂いを湛えた歌声が魅力のトニー・パーキンス。実は彼は俳優のアンソニー・パーキンスその人。本作の2年後にあの「サイコ」の殺人鬼を演じる彼が、こんなにナイーヴなジャズシンガーを気取れるなんて! アービー・グリーン・オーケストラの演奏、アル・コーンのジェントルなアレンジで歌った、甘い憂いを帯びた傑作。上品さの裏に、ちょっとチェット・ベイカーを思わす都会のデラシネ的な感じが見え隠れします。
(LP)From My Heart...