アステアの気分になってオールドタイミーな名曲を歌い切った傑作「Astaire」路線を継ぐ1枚。単なる懐古趣味ではなく、完全ひとり多重録音のコーラスなど、現代的なギミックも駆使しての仮想過去(=未来)という設定が、実は素晴らしいのです。本作も A面を占めるスタンダードに、エヴァリー・ブラザーズの「Raining In My Heart」が入っていたり、B面のオリジナル曲「Too Much, I’m In Love」の淡いメロウ感が素晴らしかったり。優しくて美しいのに、実は一筋縄ではいかない愛すべき才人。.